スペースXのStarshipが初めて軌道へ、Starlink V3衛星26基を展開|Starlinkの稼ぐ力を決算で見る(2026年9月)
何が起きたのか(報道の整理)
- 2026年9月28日、Starship の14回目の試験飛行(Flight 14)で、Starship が初めて地球周回軌道に達した。
- 次世代の Starlink V3 衛星26基を放出し、スペースXは全26基との通信を確認した。数週間のうちにサービスに使い始める予定とされる。
- 上段(Ship)は上昇中に6基のエンジンのうち1基を失い、約10時間の予定だった飛行は約3時間で切り上げられ、太平洋に着水した。
- Starship は満載で最大60基の V3 衛星を運べるとされ、今回はその一部にあたる。
V3 衛星は1基あたり下り1Tbps・上り160Gbps の通信容量とされ、これまでの V2 に比べて下りで約10倍・上りで約22倍と報じられています。V3 は大型のため、Starship で打ち上げる前提の衛星とされています。
スペースXの3つの事業(2026年4〜6月期)
| 事業 | 売上 | 前年同期比 | 営業損益 | 設備投資 |
|---|---|---|---|---|
| 宇宙(打ち上げ・開発受託) | 9.6億ドル | +29% | −5.4億ドル | 11.7億ドル |
| 通信(Starlink) | 42.9億ドル | +66% | +16.6億ドル(利益率39%) | 13.7億ドル |
| AI(Grok・X・計算基盤) | 25.6億ドル | +247% | −12.6億ドル | 158.3億ドル |
| 合計 | 78.1億ドル | +92% | −1.4億ドル | 183.7億ドル |
利益を出しているのは Starlink(通信事業)だけで、営業利益率は39%です。一方、Starship の開発を含む宇宙事業と、AI 事業は赤字で、全社では営業赤字(1.4億ドル)でした。設備投資の86%は AI 事業(データセンターなど)です。
Starlink:加入者は1年で2倍、1人あたりの単価は下がった
| 2026年6月末 | 2025年6月末 | |
|---|---|---|
| Starlink の加入者(個人・小規模事業) | 1,200万 | 600万 |
| 加入者1人あたりの月額売上(ARPU) | 66ドル | 85ドル |
加入者は1年で2倍になりましたが、1人あたりの月額売上は85ドルから66ドルに下がっています。Starlink の売上のうち、個人向けは24.9億ドル(+44%)、企業・政府向け(航空・船舶・スマートフォン向けなど)は18.1億ドル(+108%)で、企業・政府向けの伸びが大きくなっています。
V3 衛星で1基あたりの容量が増えると、同じ打ち上げの回数で提供できる通信の量が増えます。どれだけ加入者と売上に結びつくかは、今後の決算の「通信」の数字で確かめられます。
ARPU の定義は 10-Q による(個人・小規模事業向けのサービス売上 ÷ 平均加入者数 ÷ 月数)。企業・政府の個別契約は加入者数に含まない。
打ち上げの回数と Starship
2026年4〜6月期の Falcon ロケットの打ち上げは37回で、そのうち27回は自社の Starlink 衛星などの打ち上げでした。外部の顧客の打ち上げは10回です。打ち上げの多くは、自社の Starlink のために使われていることがわかります。Starship の打ち上げはこの四半期に1回で、これまでの Starship の打ち上げはすべて自社向け(試験)とされています。
宇宙事業の4〜6月期の研究開発費は10.8億ドルで、事業の赤字(5.4億ドル)の主な要因です。Starship が衛星を定期的に運べるようになれば、Starlink の衛星を増やすペースと、1回あたりのコストが変わる可能性があります。
関連する米国株と、次に見るところ
kabu が分析している銘柄では、スマートフォンと衛星を直接つなぐAST スペースモバイル(ASTS)、小型ロケットと宇宙機器のロケット・ラボ(RKLB)が同じ宇宙・通信の分野です。スペースX(SPCX)は上場から間もなく、四半期のデータが少ないため、kabu の銘柄ページ(乖離度・株格)の対象にはまだ入っていません。
- V3 衛星のサービス開始:数週間以内とされる
- Starship の打ち上げ頻度:試験から定期的な衛星の輸送に移れるか
- Starlink の加入者と ARPU:2026年7〜9月期の決算(11月ごろ)
- AI 事業の設備投資:四半期158億ドルの投資がどこまで続くか